日々の感触

近ごろ、遠くの空を眺めるのは朝だけになってる。

 

旧居では、北西の窓にカーテンを引いていなかったから、暮れる空を眺めるのに忙しかった。

机や本や描きかけの絵や、さまざまなものたちと私が同質になる時間。

通りでは家路に着く人たちの気配、遠くの踏切の音。

いつまでもそこにいたくて、電気を点けるのがもったいない。

照らされた途端それらは見えなくなり、聞こえなくなる。白けるを感じる。

たしかな日々の感触。

振り切るように筆を洗い、夜ご飯の準備に取りかかる。生活をたぐり寄せる。

 

近ごろはそんな時間を持っていないな。

 

 

はばたくものたちへ