額装、それは塵との飽くなき闘い…。アクリルガラスとマット紙の隙間に君は現れる。いつのまにかそこにいる。静電気に誘われて白地にぽつねんと佇んでいる。とても小さな君はどこにでもいる塵だけれど、この時ばかりは見逃すわけにはいかない。君を微粘着テープでピタと捕らえる。すると不思議、また別の箇所に君は現れ…
東郷青児は絵に埃がつくのを嫌がり、アトリエの掃除の後窓を閉め切って制作していました。その細やかな神経や徹底ぶりがあのデリケートな絵肌を生み出していました。私は油彩を描いていた頃、筆の豚毛が一本くらい画面にくっついて混じっても全然気にせず、厚塗りで目立たなかったしそれも込みと思っていたので…。東郷さんの制作って張りつめてて楽しくなさそうやなぁとか思っていました。
でも今は。デリケートなポイントに気を配ること、ごく普通に大切なこと、徹底するのはとても大変ですが、それでやっと納得できることがあって、届くことがあるということ。
よし、では額装後半戦にまいります