点と点がつながるとき

画家の植村ヤエコさんが個展に来てくださり、キャンバス作品の背景色を褒めてくださった。

その色は悩みに悩み、何度も塗り重ね、今の私にはもうこれ以上はできないという限界点と技術の現在地を感じ、清々しい気持ちであきらめた色でした。

 

そして在廊後、近くで個展をされていた造形版画作家の栩山さんの展示を観に行った。

そこでジェリープリントを実演くださった。使われていた画材はアムステルダムのアクリル絵具で、普段私なら下地や混色で使うイエローオーカーやクリームなどを、単色で使われていた。

単色ではありえないと思っていた色が、栩山さんの手にかかると全然ありえる色になった。先に拭き取り切らなかったダークブラウンの痕跡がいい塩梅でよりよかった。

 

これら二つの出来事は、また別の日にお越しくださったレティシア書房の敏代さんがご感想に書いてくださった「絵は作家の手から離れた時点で観る人のものになるのだと思います」という言葉そのものだと感じました。

 

さまざまな点の出来事がある一つの点につながってゆく

その起点と終点は、あるときは入れ替わり別の後味を引き出し、いつまでも解釈が定まることはない

 

信じたいことを信じることに先細りを感じる

身体が感じていることほど真実はない

 

「私、色だけは自信があるの。」

植村さんの確信に満ちたことばに、スカーッと心が明るくなった。

 

 

✳︎

 

個展が終わり、一番最初の絵画鑑賞。

安藤由莉・鹿野震一郎 二人展

at NODE HOTEL

 

全部出し切ったあとだからか、沁みわたる…

 

色がきれいだなぁ

空気にみちていた

白亜か石膏のようなベースに薄付きの油彩、スプレーなど

ずっとみていたいと思いました

昔から抽象大好きですが、やわらかな境界にこんなに魅了されたのは覚えがないな

薄いけれど惹きつけられる絵肌

近くでみるときらきらと

岩絵具のきらめきとはまた違う

絵のなかの作家の存在感がちょうどいい

朱色の丸の大きな絵もすごかった

 

解き放たれていた。